「新テニ×チョコヴァン」理想のペアVS千代&雪!?
第1章 理想のペアVS 千代&雪!?
「ぼくが拾うよ千代ちゃん」
丸井のサーブを雪が打ち返しました。
「おっと、これ以上はもうゲーム取らせないぜい」
丸井は妙技綱渡りを打って決めます。
「今の技、すごい!」
千代は拍手していました。その横で雪がムッとなります。
雪の表情のわずかな変化に気づいた木手は、千代のところに行きました。
「あなたこそ、あんなに速いサーブが打てるとは、さすがですね」
「木手くん、ありがとうございます!」
千代が照れた表情で木手に頭を下げると、雪はさらにムッとなったのです。
「キテレツでも返せない球を打てるなんて、あんた大したもんだろい」
丸井もにこっと言うと千代もにこっとなり、ありがとうと頭を下げます。すると、そろそろ、雪が口を挟みました。
「そろそろ試合に戻らない?」
雪の声は明るいですが、視線は鋭く理想のペアに向けています。
「!」
びくっとなった丸井と、
「分かりやすい方ですね」
と、ため息をついた木手です。
テニス勝負は丸井と木手の必殺技で1ー1となり、次は千代のサーブの番となり、緊張感を漂わせていた理想のペアでした。
「ブン太たち、女子に苦戦しておるのう」
「ブン太……」
丸井たちがいたコートの前をたまたま通りかかった仁王とジャッカルがこっそり観戦していました。
千代のサーブがなかなか取れずにいた理想のペアは、どうしたら彼女のサーブが取れるのか、口で相談せず、目で相談します。
丸井と木手はそんなに会話をしているわけではないですが、心で通じ合えるようです。丸井と木手は前後入れ替わり、木手が前、丸井が後ろになります。
「お~、木手がダブルスで前にいるのって珍しいさぁ~」
仁王とジャッカルと同じく、こっそりと観戦していた甲斐が言っていました。
「………」
木手が前に出てきたことで、千代はいつもよりサーブの威力が弱くなります。そこを丸井が打ち返し、点が取れました。
「キテレツがコート上の何とかってことを忘れてた。相手は女の子だ。お前が前に出たことで相当、相手にプレッシャー、与えたな」
「………」
何もツッコまないことにした木手です。
「千代、君は後ろに行った方がいい。ぼくが前に出るから」