「新テニ×チョコヴァン」理想のペアVS千代&雪!?
第1章 理想のペアVS 千代&雪!?
「大丈夫よ、雪。さっきはちょっとサーブ失敗しただけだから」
「千代……」
彼女を心配そうに見つめる雪でした。
千代は気を取り直し、もう一度、高速サーブを打ちましたが、木手のヒールな視線にプレッシャーが掛かり、今度はネットに引っかかってしまいます。その後も何度も千代のサーブはネットに引っかかり、理想のペアが2ゲーム連取しました。
「次はオレのサーブだから、キテレツが後ろな」
「ふん」
丸井が木手にハイタッチしようとしますが、木手は鼻で笑いながらスルーです。
「相変わらずつれねぇなぁ」
苦笑後、丸井はサーブを打ちました。丸井の球を雪が拾いますが、ネットに引っかかります。次の丸井のサーブのときも雪は同じようにネットに引っかかっていました。
彼の場合は千代のように木手のプレッシャーにやられたのとちがく、千代が心配で試合に集中出来なくなってしまったようです。千代はそんな雪の様子にすぐに気が付き、試合を止めました。
「雪、あたしたちが敵う相手じゃないよ。丸井くんと木手くんは強い。ここまでにしよう」
「まだ、ぼくは勝負したかったけど、千代がそう言うなら。丸井くん、木手くん、ぼくたちの負けです」
「あらら、まだ3ゲームも終わってねえのに」
丸井が肩をすくめます。
「まあいいんじゃないですか。自由ですよ」
木手はそう言ったあと、ベンチに座り、水筒の飲み物を飲み始めました。
「あんたたち、もう行っちゃうのか?」
丸井が千代と雪に話し掛けると、彼女たちは頷き、
「うん、学園に一旦戻らないといけないから」
「あーあ、今日こそは千代と2人きりになりたかったのにー」
と、言ったのでした。
「せ~つ~、それを言うな……」
千代が雪の頭を両手でぐりぐりしました。
「痛いよぉ、千代ぉ~」
と、言いながら穏やかに笑っていた雪です。
「それじゃあ、丸井くん、木手くん、さようなら」
「いつかまた君たちに会って、テニス勝負したときは、ぼくたちが勝つからね」
千代と雪は丸井と木手に手を振ったあと、バスに乗ります。