第4章 外伝 優しい理由
実弥side
実弥「お前は俺が怖くねぇのかァ…?」
『“怖いとは思ってませんよ。初めて会ったときはちょっと緊張しましたけど、不死川さんが本当は優しい人だってことはすぐにわかりました”』
優しいなんて。
そんな言葉は俺には似合わない。
『“…やっぱりダメですか……?”』
実弥「……」
『“私いつもされる側なんです。なのであまり誰かのために何かしたことなくて、何も役に立てなくて……
だからせめて____』
話し終わる前に此奴の腕を引いて抱き寄せた。
『……ぁ…!?』
実弥「……ちっせぇ…」
本当に隊士なのかと疑うほどに、此奴のすべてが細かった。だが同時に、久々に落ち着いたような気がした。
実弥「…小春。」
『……』
実弥「おい、聞いてんのか?」
背中を軽く叩くとリズムよくゆっくりとした呼吸が聞こえてきた。寝たと理解したのにそう時間もかからなかったが、それを聞いているだけでうれしくも感じた。
実弥「…………されてんのはどっちだァ…」