第4章 外伝 優しい理由
ガラッ……
不死川は何かをもって小春のいる部屋に入ってきた。
実弥「こっち来い。」
そう言って自分の膝を叩く。
まさかそこに座れということなのだろうか。小春の顔はすぐに赤くなり激しく首を振った。
実弥「宇髄にはよくやってんだろォ。それと同じだァ」
『“いや、それとこれとは違うというか…”』
実弥「妙なことはしねェ。」
『“でも「いいから来いィ」……』
謎の圧力に押され、小春は恥ずかしがりながら不死川が胡坐をかいているところに座った。今日初めて会った者にこんなことをした経験はない。
背中を向けているため何をされるかわからない緊張感で心臓音が普段よりも大きく鳴っていた。
すると髪を梳かれる感覚がした。
顔や腕に無数の傷があり、小春よりもはるかにガタイのいい彼がとても優しい手つきで少女の髪に触れている。
まるで割れ物を扱うかのように。
しばらくすると彼はまた立ち上がり、手鏡をもってきて小春の前に差し出した。