第2章 唄柱
『…お兄ちゃん……』
不安になった妹は翌日、朝から兄を探し続けた。しかし、手がかりになるものは1つも見つからない
そして、夜になった
夜は危ない
そう言われて育ってきた小春は夜だけは外に出ようとしなかった
小屋の隅で帰りを待つ
『お兄ちゃん…帰ってきて…ッ…』
キィー…
その時、小屋の扉が開いた
彼女は兄が帰ってきたと思い、扉の方にかけて行く
零「………」
『……お兄ちゃん…?』
零「…に……げろ……」
それは口の周りには血がべっとりとつき爪は鋭く尖り、眼光は赤く光っていた
あの優しい兄はどこへ行った?
『……ッ…!!』
小春は咄嗟に逃げ出した
危ない夜を必死に駆けた
『(村に行けば人がいるはず……その人達に助けを……っ!?)』
木の根に躓き坂を転がり落ちる
再び立とうとしても、足をひねってしまっているようで上手く歩けない