第2章 唄柱
屋敷を出るといきなり何かに引っ張られてグラりと体が傾いた
『…!?』
何かに寄っかかっている
強く瞑っていたが、ゆっくりと開けるとそこには
実弥「…よォ、小春」
実弥さんが私の体を支えていた。
何故実弥さんがいるのかが全くわからずきょとんとしていると
実弥「さっきは悪かったなァ…」
そう言って少し乱雑に私の頭を撫でる実弥さん。少し意外な展開にびっくりしたものの頬が緩む。
とびっきりの笑顔で頷く。
実弥「そうかィ、そいつはよかったァ」
なにも言わなくても伝わるのはさすがだなとほんとに感心する。
実弥「気ィつけて任務行けよ…
お前が怪我したら心臓がもたねェ」
それはこちらのセリフだ。
なんて言葉は胸に閉まっておき、代わりに実弥さんの背中に腕を回して顔をうずめた。そうすると実弥さんも応えてくれる。
傷だらけの顔で言い方もきついけれど、私は実弥さんが優しいのを知っている。
だって、こんなに優しい声音で私を見つめているのだから。
私は軽く手を振りながらその場を離れると、控えめだが実弥さんも手を振ってくれた。