第5章 これから…
俺は渡された缶コーヒーを飲みながら、犯人グループは逮捕され事件が解決した事を和田に話した。
「…そうか、やっと終わったんだ
…って事は、オッサンの困ったねぇ~はもう聞けねぇのか」
和田は頭を掻きながら岡田刑事の真似をした。
「君ねぇ侮辱罪で逮捕するよ」
俺も真似して、お互い笑いあった。
「結局は奴らの仲間割れに巻き込まれたって…
いや、和也が飛び出したんだから、自分から巻き込まれに行ったって事だな」
「なんだよ、その言い方は!
単に巻き込まれたでいいだろ?」
「あははっ
まぁ、後はそのギプスが取れりゃあ快気祝いしてやるよ!」
和田の笑顔を見ていると、つくづくこいつと友達で良かったと思う。
「…ありがとうな」
「また、柄にもねぇ事言いやがる
退院の日が決まったら教えろよ」
和田は親指を立てて見せると、仕事に戻ると帰っていった。
和田が帰った後、病室の窓から空を眺める。
(何か、凄く長かった様な、あっという間だった様な…)
思えば何とも不思議な期間だった。
記憶をなくし、病室で目覚めるなんて事はもう絶対ないだろう。
更には事件に巻き込まれるなんて…。
おかげで気付いた事もいろいろあった。
貴重な経験と言えばそうなんだろうが、二度としたくない経験でもある。