第5章 これから…
和田は呆れていた。
「和也、今なら婚約取り消せるんじゃねぇのか?
こんな嫁、外に出せねぇぞ」
「あははっ、薫は飲んでなくても絡んでくるんだから一緒だよ」
「だ~か~ら~!
あたしも混ぜろっての!」
薫が俺と幸司の間に無理矢理割り込んできた。
「幸司!飲め!」
「何だよ、いきなり」
「和也は怪我人だから、お前が飲め!」
「分かった分かった
和也の分まで飲んでやるよ」
和田と薫で酒盛りが始まった。
俺はふっと両親に目をやった。
親父もおふくろも薫の母親と一緒に俺達のやり取りを見ながら微笑んでいる。
みんなが微笑んで同じ時間を過ごせる幸せ。
これも怪我の…、いや、事件の功名ってやつだな。
あの事件から半年後、俺と薫は結婚した。
end