第3章 回復
後で分かった事だが、平田が警察病院から逃走した。
警察はすぐに指名手配し、岡田刑事は俺の心配をして駆け付けてくれたそうだ。
「言いにくいが、医者から近々退院出来ると聞いたが、もうしばらく入院してもらう事となった
君の安全の為にね」
岡田刑事のいつになく真剣な眼差しに事の重大さは分かった。
「俺が危険…って事ですか?」
「君は察しが良いね
詳しくは言えないがそういう事だ
しばらくは病室に篭ってもらうよ」
病室に飽き飽きしていた俺はがっくりと肩を落とした。
翌日、いつものように昼過ぎに和田がやって来る。
「和也、何かあったのか?
警官が増えてるし、免許証見せろとか言われたぜ」
「あぁ、詳しくは教えてくれないけどヤバい状況になったみたいだ」
俺は昨日の岡田刑事とのやり取りを話した。
「ふ~ん、あの平田って、かなりヤバい相手って事か?…」
「…たぶんな
しかし、何で俺は港にいたんだろう?」
ぽつりと呟いた。
「港かぁ…昔はよくバイクで走ったっけな」
「あっ…」
何がきっかけになるかなんて誰も分からない。
「…そうだ、バイクだよ!」
俺はあの日、港へバイクを探しに行ったんだ。
「バイク?港に?」
和田は首を傾げた。