第3章 回復
「和也、これからどうなんだ?」
薫が唐突に質問してきた。
「どうって何がよ?」
「退院とか仕事とかさ…」
俺も実際にはどうなるのかは分かっていない。
「退院は車椅子だけど、もうすぐ出来そうだ
仕事はまだしばらく無理だろうな」
「車椅子かぁ…不便そうだな
あたしも仕事があるから昼間は構ってやれないし、またおばさんに迷惑掛けるのか…」
なんか痛いとこを突いて来る。
「それはそうだけど…
そんな言い方するか?普通!?」
「これは事実だ」
薫は悪戯な笑顔になる。
薫が帰ると入れ替えに岡田刑事が顔を出した。
「何か思い出さないか?」
「そんなに都合よく思い出しませんよ」
岡田刑事は苦虫を噛み潰した様なしかめっ面になった。
「ん?何かあったんですか?」
「…捜査情報だから言えないんだが、ちょっとまずいことになってきた」
岡田刑事がいつもの口癖を使わないくらいの出来事が起きた様だ。
俺が今分かるのは、荷物積み込んでいた場面だけで、なんで俺がその場所にいたのかすら分からない。
現状で岡田刑事の役に立つ事は出来そうになかった。