第2章 記憶
「A…?A組の奴らはシメたはずだ」
「あんな奴らと一緒にするな」
「はんっ、一匹狼ってか?
お前、なかなか面白そうだな」
「てめぇも奴らと同類なら俺に近づくなよ」
そうだ、和田との出会いは高校入学して間もない頃の喧嘩だったな。
「よう和也、こんな所でサボりか?」
違う記憶?学校の屋上か。
「…俺にかまうな」
「相変わらずだな
また親父さんと喧嘩したか?はははっ」
和田は厳ついリーゼント頭の姿からは想像つかない屈託のない笑顔をする。
「ふんっ、幸司こそサボりか?」
「一緒にするなよ
俺は一人で考え事をしに来たんだぜ」
「どうせ遊びか女の事だろ?」
和田は空を見上げ、少し間を開けてから話し出した。
「…なぁ、和也は卒業したらどうすんだ?」
「はぁ?そんな先の事知るかよ
卒業出来るかも分からねぇのに…」
「俺は親父の工場を継ごうと思ってる
だからこれからは卒業する為に、馬鹿な事はやらない」
和田の意外な一面だった。
「桧山くん、点滴終わってるよ」
気付くと、岡田刑事が来ていた。
「あっ、ありがとうございます」
点滴のせいか、慣れたせいか、頭痛はさほど酷くなかった。