第2章 記憶
「ありゃ絶対治らねぇな」
頭を掻きながら出ていく岡田刑事を薫が茶化した。
「それくらいにしとけよ
それより今日は薫の事が聞きたいな」
「なっなんだよ!いきなり…」
薫は真っ赤にした顔を背けた。
「記憶を戻すきっかけになるかも知れないし、薫の事もちゃんと思い出したいから…」
「ばっ、ばっかじゃねぇ!
あたしの事は最後で良いって言っただろ
じ、時間だからもう帰るなっ」
薫は顔を赤らめたまま病室を出て行った。
薫が帰った後、少し考えてみた。
俺が見た場面、何で俺は港に居たんだ?
平田の他に数人で何をしていた?
何で平田だけ俺と一緒に倒れていた?
くそっ、分からないことばかりだ。
「桧山さん、点滴ですよ」
もう、そんな時間か…。
看護婦さんが点滴の針を腕に挿した瞬間。
「うっ、あっ…」
…来た。
今度はどんな場面だ?
「てめぇ!」
何んだっ!?
「ざけんじゃねぇ!」
和田の拳が…。
「はぁ、はぁ、やるじゃねぇか…」
「てめぇもな…」
お互い殴り疲れて、その場に倒れた。
「おい、俺はC組の和田だ…てめぇは?」
「…Aの桧山だ」
これがきっかけだった。