第2章 記憶
「桧山くん!」
岡田刑事が慌ただしく駆け込んできた。
「げっオッサンが来た!」
薫は露骨に嫌な顔した。
「おっと、お邪魔だったかな?」
岡田刑事は薫の顔を見るとからかうように言った。
「なんだよ!喧嘩売ってんのかぁ!」
「まぁまぁ、薫も抑えて…
岡田刑事、どうしたんですか?」
「おぅ、そうだ
君の言う通り港の倉庫街を調べたらあったよ、白いワンボックスが…
しかも平田の指紋が出た」
やはりあの時見えた光景は記憶だったんだ。
「だが、車には何も載ってないし、他の指紋も出てこない」
「えっ?他の指紋がないんですか?」
「うむ、手袋をしていたようだ
しかも白いワンボックスは盗難車だったよ」
「ちょっと待った!
何の事だよ!」
その場で聞いていた薫が我慢出来ず割って入ってきた。
「俺が少し思い出した事を、岡田刑事が調べてくれたんだ」
「ふ~ん、そうなのか?
オッサンも頭掻いてるだけじゃないんだな」
岡田刑事は頭を掻きながら、
「薫くんも、侮辱罪で逮捕されたいのかな?」
「ほら、また掻いてるぜ」
薫の一言で俺達は笑いあった。
「あははっ
また来るよ、何か思い出したら教えてくれ
あっ、ワンボックスが盗難車だったことで、彼は容疑者となったよ」
岡田刑事は軽く手を挙げて出て行った。