第2章 記憶
「いつまで、こんなところに居るつもりだよ
さっさと治して、遊びに行こうぜ!」
薫はわざとらしく親指を立てて見せた。
「あのなぁ、まだやっと肋骨がくっ付きかけてるところだ」
骨折の方は単純骨折で以外と早く治り始めている。
腕はあと二週間もすればギプスが外れそうだ。
足も一ヶ月くらいだろう。
「そうなんだ
けど良いよな、寝てるだけで飯も出てくるんだからよ」
「代われるなら代わってやるよ
薫じゃ暇過ぎて二日と持たないぜ」
「あぁ~ダメダメ
二時間も居られないね」
薫と話していると頭痛も気にならなくなった。
言葉使いは悪いが、優しい気持ちは伝わってくる。
「なぁ薫、親父とおふくろは変わりないか?」
「昨日来ただろ?
何言ってんだよ」
薫は不思議そうな顔をした。
「あぁ少し思い出してきたんだ
小さい頃だけどな…」
「本当かっ!?
で、何思い出したんだよっ!」
「まだ親父とおふくろの顔だけだよ
でもこれで少しはよそよそしさが無くなるだろ」
「うんうん
この調子でじゃんじゃん思い出せば、おじさん達も喜ぶぜっ!」
薫は自分の事のように喜んでくれる。
薫の事も早く思い出さないとな。