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Shadow Moon

第2章 記憶


“彼”の意識が戻ったのは、更に二日後だった。
しかし、頭を抱えた岡田刑事がやってきた。
「岡田刑事、看護婦さんから聞きましたよ
意識戻ったそうですね」
「困ったねぇ
実に困ったねぇ」
岡田刑事は頭を掻きながら話しを続ける。
「桧山君、記憶戻らないかな?
仕事にならんよ」
俺は訳が分からず聞き直した。
「“彼”は意識が戻ったんじゃないんですか?」
「意識は戻ったんだけど、記憶がねぇ…
あっ!
桧山君、平田良平って名前で何か思い出さないかな?」
“彼”も記憶が…?
「平田…良平…ですか?
分からないですが、“彼”の名前ですか?
あっでも今、記憶がって…」
「そう、平田良平は彼が名乗った名前だ
だが名前以外は思い出せないと…
どうなってんだろうねぇ、まったく…
困ったねぇ」
岡田刑事はまた頭を掻きながら部屋を出て行った。

本当にどうなっているんだ?
彼、平田良平も記憶を無くしているとは…。
俺と彼に何が起きたんだ?
そんなことを考えている時に和田が顔を出した。
「よお、なんか騒がしくないか?」
「あぁ彼の意識が戻ったんだよ」
和田は拳を握りガッツポーズを取った。
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