第7章 一八の苦悩?
しかし、桃太はどんな犬とも仲良くなる。
ラブラドールやレトリーバーと言った大型犬から、柴犬やコーギーみたいな中型犬、チワワやミニチュアダックスの様な小型犬でも尻尾を振り振り寄ってくる。
しかも桃太の傍だと他の犬同士も喧嘩しない。
不思議な犬だ…これも桜の精の犬だからかな。
「桃太、行くぞ」
「ワン♪」
まだ時間もあるし、少し離れているが大きな神社まで行くことにした。
何年も来てなかったが、神社の参道は桜並木だった。
深緑の葉に覆われ、木漏れ日とそよぐ風が気持ちいい。
普段『神頼み』なんてしないが、明日香の昇進試験が上手くいく様にとお参りする。
ここでも桃太は大人気だ。
犬だけじゃなく子供達まで寄ってくる。
「わぁピンクの犬だぁ」
だいたいこの反応が多い。
写メもよく撮られるが、何故かネットで話題にならない。
何か不思議な力が働いているようだ。
神社を後にして、桜並木を散歩していると桜の精が現れた。
「あら?桃太じゃない?
響子ねえさんとこの?」
やっぱり響子は桜の精界では有名人らしい。
「ワン♪」
桃太も知っているようだ。
俺は周りに人がいないのを確認して声をかけた。
「あの~姥桜の知り合いですか?」
「あぁ~あなたが噂の…」
俺は精界で噂になっているのか?