第7章 一八の苦悩?
「えぇ~~~っ!?」
花枝はラウルの傍でニコニコと愛想よく笑っている。
俺は呆気に取られた。
「…玉の輿狙いですか?
桜の精にもいろいろいるのね…
帰るぞ、桃太」
ラウルも花枝も楽しそうに笑っているから良しとするか…。
これでラウルが明日香にちょっかいを出すこともないだろう。
精王のオッサンも一安心か…。
しかし、精界の将来には不安が残る。
「まぁ俺には関係ないな」
そんなことを考えながら桃太を連れて帰った。
アパートの近くで桃太に姿を見えなくするように言う。
「ワン♪」
桃太が尻尾を振りながら応える。
これで安心して帰れる。
アパートに戻るともう昼だ。
玄関を開けると中から良い匂いが漂ってくる。
「あれ?明日香!?」
玄関の脇にあるキッチンで明日香がパタパタと料理していた。
「お帰りなさいですぅ」
「いや…お前…あれ?修行は?」
俺は多分すんげー間の抜けた顔をしていたと思う。
「修行はまた明日ですぅ」
「ワン♪ワン♪」
「………」
修行って日帰りなのかよ…。
開いた口が閉まらないとはこの事か…。
「明日香…」
「なんですかぁ?」
「…いや…ただいま!」
「はい♪」
なんだかんだ言って、明日香がいると落ち着く。
こんな関係がいつまで続くか分からないが、しばらくは明日香の笑顔を見ていられそうだ。
桜の精に恋するなんて、俺もヤキが回ったってことだな。