第7章 一八の苦悩?
「ワン!ワン!」
俺はびっくりして飛び起きた。
「も、桃太?……そうか、しばらく一緒だったな」
のそのそと起き上がり、顔を洗い朝食を作る。
「そういえばお前の餌がないな
って言うか、お前うちでビールしか飲んでないよな
…パン食うか?」
パンの耳を牛乳に浸して桃太に出した。
「ワン!」
どうやら桃太は気に入ったみたいだ。
喜んで食べている。
朝食を食べ終えて片付ける。
「今日は休みだし、ちょっと散歩するか?」
「ワン!ワン!」
桃太は尻尾を振り振り喜ぶ。
散歩に出て周りが桃太を気にしない事に気付いた。
「あっ、見えないままか…」
俺は人がいない所で桃太に耳打ちした。
「見えるようになって良いぞ」
明日香がいない散歩なら、他の犬と遊ばせても良いだろう。
いつもの公園に行くとよく会う何匹かの犬がいる。
桃太を見付けると向こうから寄ってきた。
「桃ちゃん、いつも綺麗にしてるわね
大きいから洗うの大変でしょ」
コーギーの飼い主から言われ答えに困った。
「いや~、こいつは大人しいから…」
俺は桃太を洗った事はないが、確かにいつも綺麗なピンクだ。
ラブラドールと比べても桃太の方が大きい。
こいつを洗うとなるとかなり大変だろう。
しかし、桃太はどんなに汚れても身体を振るわせるだけで綺麗になる。
飼い主に手間を掛けない、便利な身体だ。