第7章 一八の苦悩?
「はぁ~」
俺は大きく溜め息を吐く。
小さくなってるとは言え、大型犬くらいはあり色がピンクでこの上なく目立つ桃太を連れて帰るのは正直まずい。
「うちのアパート、ペット禁止なんだよなぁ
一日くらいなら誤魔化せるけど何日もは無理だぞ…はぁ~」
桃太の頭を撫でながらまた溜め息を吐いた。
「お前、色変えられたよな
って事は、明日香みたいに他の人から見えなくなる事って出来るのか?」
桃太は元気よくワンと吠えると尻尾を振った。
「…?…変わって…ないよな
あっそっか、俺は見えちゃうからダメか…」
とりあえず桃太を連れてアパートに戻ることにした。
途中で犬の散歩してる人とすれ違った。
犬は気配が分かるのか振り返っていたが、飼い主は何も気にせず過ぎていった。
もしやと思い、そのままアパートまで帰ったが誰一人、桃太に気付く事はなかった。
「出来るなら初めからそうしろよな…」
俺は桃太の頭を撫でながらぼやく。
これでとりあえずアパートで生活が出来ると胸を撫で下ろした。
「とりあえず飲むか?」
「ワン!」
缶ビールを桃太と分け合った。
しかし、明日香が居ないと妙に静かだ。
居るのが当たり前の様に思えて、寂しさが募る。
それに明日香の料理もしばらく食べられないと思うと残念でならない。