第6章 明日香の苦悩
「で、次の昇進試験はいつあるんだ?」
「え~とぉ、来月からありますよぉ」
俺は耳を疑った。
「ら、来月ってもうすぐだぞ!
こんな所で遊んでて良いのかよ!?」
「大丈夫ですよぉ
ちゃんと勉強してますからぁ」
俺の心配を余所に、明日香は相変わらずのほほんとしている。
「それにぃ、試験は一ヶ月間やるんですぅ
だからぁ、そんなに焦ることはないんですよぉ」
「一ヶ月も試験やるのか?
何をやるんだ?」
俺はペーパーテストみたいな事を考えていたがそうじゃなさそうだ。
「ペーパーテストもありますけどぉ、実践的な事が多いですぅ」
「あっ、心を読むなって言ってるだろ…
…じゃあ、実践って具体的には何するんだ?」
もう明日香に心を読まれるのには慣れてきた。
「術式もですけどぉ、舞や作法が重視されるんですぅ」
明日香の話だと、桜の精の昇進試験には、術式や格闘技もあるが、主にしきたりや作法、舞などの所作が昇進の決め手になるらしい。
特に苦手な舞は姥桜の響子に教わっているそうだ。
響子はあれで舞の達人らしい。
(あの性格まで引き継がなければ良いが…)
俺はそれが心配だった。
「叔母さまはぁ凄いんですよぉ
桜が咲くとぉ、姥桜の舞を見に来た人でいっぱいになるんですぅ」
明日香は自分の事の様に喜んでいる。