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CherryBlossom

第5章 精王と紅(くれない)祖母さん


「無粋だねぇ、この精界でも権力を盾に下の者に無理強いするのかよ
人間界と変わらねぇな
だいたい恋愛ってのは本人同士の問題だろうが…」
(一瞬でも、名君かと思って損したぜ)
俺は堪らず最悪の台詞を口にしていた。
「一八さん、ダメですよぉ!」
明日香の制止は遅かった。

「一八殿、儂は精王以前にラウルの祖父じゃ
かわいい孫の為なら御主を亡き者にする事も出来るのだぞ」
デュラル精王は俺を睨み据えた。
しかし、俺も睨み返し二人の間に見えない火花が散った。
「俺が死んだ所で明日香の気持ちが変わるとでも思うのか?
それとも精王の権力で嫌がる明日香と無理矢理結婚させる気か?
明日香の気持ちは知った事じゃないって言うのかよ!」
(何熱くなってんだ?俺もどうかしてるぜ)
頭の中の冷静な自分がツッコミを入れるが、余りの理不尽さにキレていた。

「二人共、頭を冷やさんか!」
その一喝に、俺と精王は声の主に振り向いた。
「デュラルよ、御主は王の座に就く者、公私混同は如何なものかのぅ
一八殿も、正論ではあるが目上の者に対して礼を逸してはいないかのぅ」
成り行きを見ていた紅祖母さんの言葉で一先ず場が落ち着いた。
俺も精王も渋々、引き下がり腰を下ろした。
(さすがは、大老と言われる祖母さんだな
精王を引き下がらせるとはね)
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