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CherryBlossom

第5章 精王と紅(くれない)祖母さん


憮然としていた精王が紅祖母さんに向き直った。
「紅よ、御主はどう考えておる?
桜の精と人間では、所詮住む世界が違う
儂は明日香の為を思って言っておる
明日香は御主にとっても大事な孫であろう
それとも昔の過ちを繰り返すのか?」
「精王になれたからと言って自惚れるでない!
今の者に古い考え方を押し付けて進歩があると思うか!」
紅祖母さんは目を見開き精王を一喝した。
どうやらデュラル精王は紅祖母さんに頭が上がらないようだ。
さっきにも増してシュンとしてしまった。

紅祖母さんは穏やかな表情に戻って、明日香を見つめた。
「明日香はもう一人前の桜の精じゃ
この先、どうするかは明日香自身が決めれば良い
一八殿も血の気は多い様だが、悪い御仁ではなさそうじゃしな」
紅祖母さんは俺をちらっと見て、片目を瞑ってみせた。
(なかなか粋な祖母さんだな)

ラウルは何か文句言いた気な顔をしていたが、デュラル精王と共にすごすごと帰っていった。
「しかし、貴方の度胸と言うか、無謀さには呆れますわ…」
響子が俺の顔を見て苦言を呈した。
「一八さん、格好良かったですぅ♪」
明日香は呑気に喜んでいる。
俺はと言うと、緊張感が一気に解けて茫然としていた。

なんかとんでもない事を言っちまった気もするが、俺達も紅祖母さんに挨拶してアパートに戻った。
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