第4章 ライバル?明日香のバトル!
いつもの公園のいつもの桜の木。
一週間経つとさすがに散りはじめている。
「なぁ明日香、結局なんで俺しか桜の精が見れないのか分からないままだな」
姥桜の精である響子なら知っていると言っていたが、あんな事があったので有耶無耶なままだ。
「そうですねぇ…
またぁ叔母さま呼びましょうかぁ?」
「やめろ!呼ばなくていい!」
俺は全力で拒否した。
(また何かやらされるんじゃかなわんからな…)
「それより、駅の方の桜並木まで散歩するか」
「ワン!」
桃太は喜んでいるようだが、明日香は珍しくテンションが下がっている。
「桜並木ですかぁ?」
「どうした?あそこは今週末までライトアップしてるはずだから、華やかだぞ」
「ワン!ワン!」
桃太に引っ張られ(なぜか桃太は誰にでも見えるので、一応リードを付けてる)歩き出すと、明日香も渋々ついて来た。
「なんだよ、いつもの明日香らしくないな」
「…」
声をかけても何の返事もない。
俺は首を傾げながら桃太に引っ張られていく。
10分程度歩くと桜並木に着いた。
「はぁ~」
いきなり明日香が大きな溜息を吐く。
「なんだよ、その溜息は!?」
すると、明日香が指差した。
「…?、まさか…」
指差した先には、どう見ても明日香と同類、桜の精だよな。
こっちを見て手を振っていた。