第3章 姥桜参上!
「起こしゃ良いんだろ!」
こうなりゃ自棄だ。
俺は桃太の鼻先に跳び蹴りを入れた。
桃太がゆっくり目を覚ました。
「がるるるっ」
これはかなり不機嫌な様子だ。
だが起こした事には代わりない。
「どうだ!起こしたぜ!
俺の勝ちだな!」
俺は響子に向かって叫んだ。
「うふふっ、腑抜けは訂正しましょう
ですが、蛮勇には代わりないようですね
その子を宥められますか?」
響子は余裕の笑みを浮かべる。
「一八さ~ん、桃太怒ってますよぉ」
明日香に言われなくても見れば分かる。
牙を剥き唸りながらゆっくりと立ち上がった桃太は、犬の姿はしてるが象くらいの大きさがある。
こんなのに襲われたら、ひとたまりもないぞ。
(どうする一八?逃げても無駄だよな…)
俺は腹を括った。
「桃太!かかって来いよっ!」
桃太は身を一度振るわせてから、俺に向かって突進して来た。
「あらよっと!」
寸での所で桃太をかわす。
勢いよく行き過ぎた桃太は直ぐさま反転し、また向かって来る。
「こっちだ!こっち!」
左右に動きながら何度も桃太の攻撃をかわす。
デカイといっても犬は犬。
さっきまでの獰猛さはなくなり、尻尾を振って楽しそうに俺を追っかけてくる。
さすがに捕まった時は食べられるかと思ったが、大きな舌でペロッと舐められた。