第3章 姥桜参上!
ここで響子が立ち止まり振り返った。
「腑抜けの相手はこの子ですわ」
「この子って…熊か?」
「熊じゃないですぅ
“桃太”っていうワンちゃんですよぉ」
明日香の言葉に俺は目が点になっていた。
「い…犬だとおぉぉぉ!」
明らかに熊よりデカイ。
こいつが相手って、どんな度胸試しだ?
そんな俺を見て、響子がふふっと微笑んだ。
「もう逃げ出しますか?」
「ちょ、ちょっと驚いただけだ!
で、こいつと何するんだ?」
正直、少しビビっている。
それを響子の漆黒の瞳に見透かされてる様な気がした。
「簡単な事ですわ
昼寝しているこの子を起こして下さいな」
「起こす?それだけ?」
「それだけですわ
…でも、お気を付けあそばせ
桃太の寝起きは機嫌悪いですわよ
おほほほっ」
明らかに楽しそうだ。
まさかこのおばさん、ドSか?
しかし、このデカイのをどう相手するんだ?
とりあえず、俺は犬(なのか?)の前に回り込んだ。
「おーい!桃太!」
叫んでみたがぴくりともしない。
近くで見ると、とんでもなくデカイな。
口の大きさはワニくらいあるぞ。
(こりゃあヤバいかも…)
でも逃げ出す訳にはいかないし、どうするかな。
「先程の威勢はどうされましたか?」
響子からプレッシャーを掛けられた。