第3章 姥桜参上!
「舐めるな!こらっ!」
それでも桃太はペロッと俺を舐める。
全身ベタベタだ。
「どうやらご機嫌も直ったみたいだぜ」
響子に向かってドヤ顔をしてやった。
「一八さ~ん♪スゴイですぅ♪桃太が懐くなんてぇ♪」
明日香は飛び跳ねて喜んでいる。
「まぁ良いでしょう
貴方、なかなか面白い殿方ですね
とりあえず明日香とのお付き合いは認めましょう」
「…お付き合い?俺が明日香と?」
何か話しが良からぬ方に進んでいる気がした。
「ありがとうですぅ~響子叔母さまぁ」
響子は明日香の頭を撫でると、袖を一振りし桜吹雪と共に消えた。
「明日香!ちょっと来い」
俺はいまだに桃太に捕まったまま身動きが取れないでいる。
「は~い、何ですかぁ?」
「今、変な会話してたろ!」
明日香は首を傾げる。
「え~変な会話なんてぇしてないですよぉ」
「誤魔化すな
俺と付き合うとか言ってただろ」
明日香はニコッと笑って答えた。
「聞こえてましたぁ?
だってぇ、人間界では一八さんしかぁ話し相手がいないんですよぉ
だからぁ叔母さまに相談したんですぅ」
「…って事は、この訳の分かんねぇ度胸試しをやらされたのはお前せいかぁ!?」
俺は飛び掛かろうとしたが、桃太に抑えられたままジタバタするだけだった。
「桃太!いい加減に離しやがれ!!」
俺の叫び声は虚しく野原に響くだけだった。