第7章 煉獄杏寿郎 □桃ノ花
□桃ノ花 (煉獄杏寿郎)
◆◆◆◆◆◆
「鬼の子として産まれたんだ。」
「鬼の…子、ですか?」
「うむ、俺は鬼を狩る鬼だ。」
この女になら言っていいだとか、受け入れてくれるだろうとか、そう言った理由で思いの丈を口に出した訳では無い。
「ずっと、確固たる意思があり鬼を狩っている他の者を…妬ましいと思っている。」
花街の女。見目こそ美しいが恐らく金輪際関わることは無い。そんな女だからつい本音が漏れた。
「ソレでも責務が無ければ俺の命に意味は無い。」
抱く気にはならないし、話でもと思ったがこの桃花(トウカ)という女は口下手らしく自分からは一言も話さないので話す事が無くなったのも理由の1つなのだろう。
「諦め、立ち止まった時。ソレは煉獄の名を背負った杏寿郎という男の終わりだ。」
大丈夫、だれにもバレはしない。その安堵感からボロボロと本音がこぼれ落ちているのは先に上げた要因の効果なのだろう。だから、問題はないんだ。
「俺の安息は、終わりにしかアリはしない。」
この情けない姿は行きずりのこの女しか知らない。
「ソレは、鬼と同じことなのだ。」
柱である俺が、【鬼と同じ】などという戯言を遊女に吐き出しているなど、誰も思いもしないだろう。