第6章 不死川実弥 (R18)□笑う月
少しだけ夜を眺めていると
____ザッ。と耳の端で聞こえて
振り向けば臆病な冷たい風が私の腕を掴む。
『………お前もいつも笑ってるだろ。』
「………実弥。」
『………たまには、布団で抱いてやってもいい。』
「……ふふっ…泣くのはそっちだけど大丈夫?」
『………居なくならないなら……来い。』
「…………明日は槍でも降るのかしら………。」
同意など聞かずに腕を引っ張る貴方は
少しだけ耳が紅くて暖かな風が私を包んだ。
『お前のこと…嫌いだからなァ。』
「うん、知ってる。大丈夫だよ。」
俺はまたそれしか言えない。
少しばかり今日が冷えるから
ただ暖かい枕が欲しいだけだ。
繰り返す言い訳をしてもどうにも顔が熱くて
また三日月に笑われてる気がした。
「(………手が…暖かい。)」
『(………何してんだ俺……。)』
そんな2人を三日月はまた嘲笑う。
未来など、いくら震えて泣いても変わらないと
そう知っているから。
三日月の日の約束はきっともうすぐ終わる。
揃いの2人はきっと毎日
隣で月を数える様になるのだから。