第4章 煉獄杏寿郎 □想いの丈
『俺の想い人は…本当に…酷い奴でな。
いつも綺麗な顔で泣かれてしまうから
全て放棄して、連れ去りたくなるんだ。
本当は 前を向け!!等と言うのが俺らしい。
俺の 能面 を涙1つで簡単に剥がしてくれるな。』
「ふふ、本当困った人ね。」
『ああ、本当に困った奴だ。』
このやり取りも何回目だろうか
淡々と流れる時間の中、同じことの繰り返し。
いっそくっついてしまえ。皆はそういうかも
しれないけれど、それは絶対に出来ないの。
黙っててもお互いに分かる。
そういう仲だからこそ痛いくらい伝わるんだ。
『前を向けっっ!!信念を貫き通せっ!!』
「…はい。師範。」
『姫華に言ったのではないぞ?
俺は想い人に伝わるように声を張ったのだ!』
「うん。どうもその声は今日もいつも通り、
しっかり想い人に届いたみたいだよ。」
『それは何よりだ!!こう言うと泣き止む
根性の座った女で本当に良かった!!
俺は女を見る目があるらしい!!』
「私の想い人も真っ直ぐ前しか見ない
背中のカッコイイ…本当にいい男なの。」
信念を貫くために今は恋などに現を抜かす
暇など無い。真っ直ぐ前だけを見て
己の鬼殺の精神のみをひたすらに貫き通す。
たまに揺らぐ時は2人で頬をひっぱたいて
夢から一緒に覚めましょう。
そんな強情で真っ直ぐな所も愛おしい。
だからお互い否定しない受け入れる。