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虹色の月【鬼滅の刃/ 短編集】

第4章 煉獄杏寿郎 □想いの丈




「………想いの丈を伝えたいな。」
『伝えなくて良い事もある。』


「……そうね、伝えなくて良い事もある。」
『そうだそれで良いんだ。そう思わねば
俺は今にも、気が狂いそうだ!!』



星も月も雲がかかっていてあまりよく見えない。
それがまるで自分達の未来でも見ているかの様で
何となく無性に………腹が立った。


「月が綺麗ね、杏寿郎。」
『そうだな、それでは……。
巡り逢ひつつ、影を並べん!!』


「あら、熱烈で素敵な選択ね。
そんな事言われたら誰でも落ちちゃうわ。」


『想い人に言われた時の為に散々調べた!!
俺の想い人はその台詞が気に入ってるようでな。
毎度せがまれるのでそれも可愛らしいのだが
もう良い返事が思いつかん…。辞めて欲しい!』



月が綺麗ですね。は愛の告白。

巡り逢ひつつ影を並べん。は
平安時代を代用する歌人、西行の和歌。

『君にいかで 月にあらそふ
ほどばかり めぐり逢ひつつ 影を並べん』

それは、

『貴方はどうなの?
いつも空にかかる月と競い合うのも辞さないほど
毎夜、あなたと巡り逢って肩を並べ
一晩中寄り添っていたい』

そう言う意味合いで
『月ではなく私を見て』と暗に意味している。


そんな熱烈な返答は、どうやら想い人の為に
必死で調べた答えらしい。

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