第1章 不死川実弥(現パロ/死ネタ)□しらんぷり
□しらんぷり。実弥side (現パロ/死ネタ)
『おい。』
「………。」
『姫華』
「………。」
『なあって…はぁ…。』
「………。」
ぶら下がった本体の下で膝を抱える愛しい彼女。
この膝を抱える仕草は何か悪いことをした時の癖。
怒られんのが怖いんだろうな。
『お前なァ、理由もなくそれすんのやめろよ。
一体何がしてぇんだァ?』
理由も全部分かる。しかしそれよりも
恐らく起こっている変化の方が嬉しくて
茶化すように言葉を紡ぐ。
もしかしたら、俺の声が聞こえるかも知れない。
『ほんとお前…まぁいいか。…おいで?』
「…………。」
聞こえていて欲しい。どっちだ?
前はこう言えばこっち来てくれたよな?
『何?来ねぇの?…
ほら、こっち来い。今日は香水付けてねぇぞ。』
「……。」
お前、俺が香水付けると 実弥の匂いがぁ!!て
いつも騒いでたよな。犬かよお前。
『………そうだな、服の中入っていいぞ。』
「……!!」
ピクリと肩が揺れる。やっぱり聴こえるのか。
服が伸びるから駄目だっていうのに
無理くり服の中入ってくるの好きだったよな。
今日は服が伸びてもいいぞ。
だから早く声をきかせてくれよ。
『ふっ…姫華、本当に会いたかったんだ。
あんま焦らすな。…ほら、早く来いよ。』
本当に心からお前に会いたかった。
声を交わして普通に生活したかったんだ。
俺の言葉に顔をバッと上げ、
それは嬉しそうにこっちを見つめてくる。