第1章 不死川実弥(現パロ/死ネタ)□しらんぷり
「……ねぇ実弥。何で生きてるうちに
言ってくれなかったの?」
『……なァ姫華。なんでお前、
俺の声が聞こえるんだよ。』
毎回始まるのはしらんぷりから。
見たくないの。触れられないから。
毎月実弥の実家からお野菜が届く。
私のことを気にかけてくれてるみたい。
本当に優しい御家族だと思う。
それが届くタイミングで実弥は現れる。
さっきの会話ね、ごっこ遊びなのよ。
「15分たった。」
時計を見てキッチンへ戻る。
『もうやめねぇか。』
「丁度、同じこと考えてた。」
『お前馬鹿だよな。』
「うん、馬鹿なの…。」
『やっと結婚できるな。』
「うん、ごめんね。」
『お前何で俺の声きこえるんだよ。』
「リビングに居たでしょ。」
『生きろよ…バカなのかお前は。』
「馬鹿だよ…今日怒られると思った。」
『俺、お前怒ったことねぇだろ。』
「うん、ごめん怖くてしらんぷりした。」
『ぶら下がった下で膝抱えてっから…
俺……なぁ……何で…死んだんだよ。』
「実弥と喋りたかったの。」
毎月実弥の実家からお野菜が届く。
それに合わせ彼は現れる。
顔は見えても声が聞こえなかった。
だからまるで私がしらんぷりしてるみたいで。
ふっと振り向くと実弥が寂しそうにしてるの。
声も音もないから……わかんないのよ。
届きそうで届かない
硝子版1枚挟まれた様なそんな感覚
『お前の幸せ…祈れなかった。』
「……これが私の幸せなの。」
『ありがとう。姫華。』
「大好きだよ。」
『…そうかよォ。』
愛の言葉はいつも私だけ。
けど、優しい顔で愛を伝えてくれるの。
私はそれがとっても好きだ。
「死んじゃった!お話したくてっ!」
『怒りてぇのに、嬉しくて怒れねぇよ。』
「実弥は私を怒ったこと無いでしょ?」
『あぁ、全部が好きだからなァ。』
「ふふ、私も全部が好き。」
珍しいね、貴方が愛を言葉で示なんて。
何かこそばゆくて照れくさいや。
どんな風の吹き回しなの?
『…愛してる。』
「…うん、私も愛してる。」
そっか2人とも終わりだもんね、これで…
2人が居れば未練なんてないんもんね。
『「結婚しよう。」』
『「喜んで。」』
もう2度とお互いに会いませんように。
気が狂うほど好きになってしまうから。
貴方には幸せになってほしいの。
これで終劇。