第23章 眠れる皆のお姫様

この失う事への恐怖心は
当たり前の様にしつこく隣に居るものだから
いい加減慣れてしまっているのだ。

こんな想い、実弥には日常。
最早無意識下で認識だけしている事実。

今日はほんの少し、がこんなだから
それがやたらと心で意識してしまっている。
ただそれだけの話なのだ。

それ程までに
彼は優しすぎていつでも静かに怯えている。


実『なァ、お前はこんなに遠いのか？
………お前の背中を守ることすら遠すぎて
偉そうなこと1つも……言えねぇじゃねぇか。』


本当は何処かに閉じ込めて閉まっておきたい。
こちらに来るなと跳ね除けて守りたい。
お前はのうのうと普通に生きていろと言いたい。

けれど、そんな事をしたら
確実に鬼が消えるのが遅くなる。
それは明らかに自分の信念や皆の信念の邪魔だ。

それが認めざるおえない位
は戦力としても、皆の心の支えとしても
必要な存在だと嫌でも分かってしまうほどには圧倒的に強い。

だからせめて背中を守って、いつか
背中を守るのは実弥じゃないと駄目だ。
と言って欲しいとそれを願って
何とかここまで頑張った。


本当は黙って俺に守られれば良いなんて
カッコつけた事が言いたいが、
皆が驚愕する程の働きをした今回のお陰で
更にその背中が遠く感じて、お前を守るなんて
偉そうな事を1つも言えなくなってしまった。