第21章 君が好きだと言う話

お前は自然と俺の横にいる。
そんな存在は今までただの1人も居なかった。

俺の周りには人が居た。
しかしそれは護りたいという自分のエゴで
匿い続けた。ただそれだけの話だった。

挙句俺は、正しいと思い必死で守り抜いた者に
簡単に突き出されたんだ。
子供だから仕方ないと分かっていても
心は酷く沈み、それから人を信じなくなった。
道理は理解している。それでいい。

そんな愚かな俺でも御館様は認めてくださった。
その心に感銘を受け忠誠と信念を誓うも
浅ましく汚れた心は 信用 という
優しい光を失ったまま心はひたすらに闇へ沈む。

今更光が欲しい訳では無い。
俺は俺に出来る信念を忠誠を貫くのみ。

それが信念と心に掲げるも、
何故か拭いきれない 闇 が度々己を揺らす。

生きる道の途中で人を救っても
汚い心は、光など見たくないと
ひたすらに己の修羅を貫くのみ。

求めるものも分からぬくせに
ひたすら念仏を唱えてみる。
何も変わらずに時が過ぎるのみ。

俺は何も変われない、しかしそれが道理だ。


「特別なことじゃないですよ。
私はたまたまココに居て、
心地良いから動かない。ただそれだけです。」


そういう所だ。
お前の不思議なところは。
本当に自然に横にいて何を言う訳でもない。

きっと変わりたいと言えば、お前なら
俺の欲しい言葉をくれるのだろう。
それで俺は変われるかもしれない。

けれど俺はそれを求めていない。
それを何故か分かっているんだろうな。


悲『お前の隣は……心地いい……。
何も……………考えなくていいんだ。』

「ふふ、そういうのって大切ですよね。」


全ての道理は分かっている。
だから本当にそれでいいんだ。

闇に沈んだ心など鬼滅になんの支障もない。
それが俺の生きる意味なのだから。
やっと見つけた意味なのだから。
俺はもう、変わりたくないのだ。