第21章 君が好きだと言う話

産『そんなこと言われると、
何だか期待しそうになるけど……。
恐らく、全然違う意味なんだろうね。』

そう言えば んー。と悩み出す。

今更何を言われても諦める気はないが
少しだけ今の押し問答で変わったのか？
などと結局期待してしまう。

男と言うのは本当に単純だな。
そう思っていると
答えを導き出したらしいが
嬉しそうに微笑む。



「もしも本の中の登場人物なら、耀哉の事を、
気が狂うほど愛してみたいって意味ですよ。」

産『…一体何を考えているんだい、君は。』



うっかり大きなため息が出てしまう。
しっかり口元は歪んでいるから、
誤魔化すように手でそれを隠す。

恐らく、現実では無理だが
貴方は素敵ですよ。という
気の利いた断り文句のつもりだろうが。

は本当は馬鹿なのかもしれない。
こんな言い回しされたら言葉の裏より
そのままの言葉が強すぎてにやけてしまう。

何でその気もないくせにそんな事をいうんだ。
けれどどうしても嬉しい。