第21章 君が好きだと言う話

産『それならばは、
紫式部が嫌いなのかい？』

気になるが突破口が見当たらなくて
とりあえずそれらしい疑問を投げてみる。

うーん。と少し悩んだ後に
じっと手元の本を見つめると表紙をつーっ。と
指でそっとなぞりまた艶のある声で話し出した。


「女ですから。
とても気持ちは分かりますよ。」



またこの顔だ。
悲しそうな、それでいて優しげで
どうも自分はこの顔がとても好きらしい
バクバクと煩いくらいに鼓動が響く。

「私も憧れますもん。
色んな人と恋愛したり愛されたり。
そんな幸せがあったらならと、
想像する事だって沢山あります。」


君のその物語りの登場人物に自分がいたら
どれだけ幸福だろうか。

思考に自分が居たらと想像するだけで
こんなにも胸が高鳴るとは。
これは恋慕などではなく崇拝なのでは
無いかと少々不安になってしまう。


「けど、私ならば……。
幸せそうにただ1人を思い続ける
そんな恋愛を書いて見たいです。」

産『それは夢のようだね。』

そう言うと、
本当に本当にここからはもう考察というか
絵空事何ですが…。と前置きをして
ポツリボツリと語り出したので
心地の良い声に耳を傾けてみる。