第28章 幸せな日常

柚「もう少し…の話しようよ。
君はいつも義慈とばっかり話してるからさ。」



構って欲しい子供の様な姿に観念した実弥は”義慈とばっかり”という言葉に面倒くさそうに反論する。



実「…柚樹さんも宇髄とばっかりですよね。」


何故だか気が合うのだろう。何だかんだ揃いで動くのはそっちも同じだろうと言う実弥の言葉を否定もせずに柚樹は天元への印象を口にする。



柚「あのやけに甘ったるいとこがなければ
彼は…一気に化けるんだけどねぇ…。」


そう言いながらも柚樹の顔は優しげに微笑んでいる。確かにそれは事実なのかもしれないが、それでも彼は強くなれるんだ。と思っているのだろう。



実「あいつは変わんねェっすよ。あのお人好し。」

柚「ふふ、そうだねぇ。
変わらないで欲しいよね、僕もそう思う。」


実弥も、何だかんだ同じ様に思っているらしい。

天元の良さをしっかり理解している様子に柚樹が嬉しそうに関心していると実弥がポツリと呟いた。




実「けど、あの呼吸の型……凄かったなァ。」



とんでもない騒音と共に地面にクレーターを開けた天元の呼吸の威力は目を見張るものがあった。

ありゃ、街じゃ使えねェな。と呟いた実弥を見ながら柚樹はクスクスと笑いだした。