【鬼滅】硝子玉 。柱には師範が居たらしい。【逆ハー救済夢】
第27章 不安と過去とそれから未来
『はは、不幸になるわけがあるめぇよ。
なんもお前は悪かねぇ、んで、誰も悪かねぇ。
全部、世の中の仕組みと神様がいけねぇんだ。』
誰も悪かねぇ。
そう言って男は優しい瞳で少女の顔を覗き込む。
何故か少女はその”誰も悪かねぇ”という言葉に異様な程感銘を受け、ホロホロと涙を零した。
『……いいかぁ?何があっても誰も恨んじゃなんねぇぞ。例え自分が殺されても笑ってろ。それがこの道に産まれちまった人間がマトモに生きてく唯一の術だ。………救い出してやっからな…それまでだ。』
少女の涙を優しく拭いながら男は酷く優しい声でそう続けた。
男のいる場所も少女のいる場所も普通からはかけ離れた肥溜めの様な世界だが、どうやら自分は人間で居ても良いのだと少女は心から救われた。
その条件が人を恨まぬ事ならばソレは心底簡単な事のようにこの時の少女には思えたのだ。
『頑張って待ってろよ。
俺も………腹を決めたからよ……。』
「………うん!!待ってるっ!!」
子供らしい笑顔でそう答えた少女に男は嬉しそうに微笑んで帰っていった。
それから少女は今までの人生で1番幸せな時を過ごす。
きっと彼は嘘をつかない。いいことも悪い事も今ままで全てを包み隠さず伝えてくれた。
だからあの言葉も、約束もきっと本当なのだといつか迎えに来てくれるのだとそう信じていた。