【鬼滅】硝子玉 。柱には師範が居たらしい。【逆ハー救済夢】
第27章 不安と過去とそれから未来
『…う…あ………やめ…て…。』
目の前の血飛沫に子供は尻もちを着いた。
頭の先からつま先まで虫が這い回るような心地に襲われる。
殴られた時、自分から香る香りと同じ鉄臭い血の香り。
生ぬるい感触、首から吹き出ている血飛沫。
性器を丸出しにして白目を向く両親。
『死んじゃう……首っ……あぁっ!!』
慌てて布団で2人の首を覆い血を止めようとするがドクドクと血は吹き出して、意味不明なしゃがれ声を出しながら両親は息絶えた。
『…あ………あぁ。』
どうする事も、考えることも出来なかった。
子供はその日からまる2日、全裸の両親の亡骸に背を向けて冷たい床に座り込んでいた。
その2日間、排泄物はどうしていたのか。体制は変えていたのか。…子供はそれすら覚えていない。
そして彼女はコレを境に、生き物の血や死体を見ても眉ひとつ動かさなくなった。
◆◆◆◆◆◆◆
『……やりやがった…この馬鹿夫婦。』
こんな荒んだ家に来る訪問者は、鎮静剤をくれるガタイのいい男しか居ない。
何時ものように静かな事を確認して鍵が常に空いている玄関を男が開けると、そこは地獄の様な光景だった。
『……っ…ぐ………。』
異臭と目の前の惨状に男は耐えきれずシンクに胃の中身を吐き出した。
口をゆすぎ、2つの死体に背を向けて座り込む子供に目を向ける。
『………。なに…してんだお前。』
頭から被った血は茶色に変色し、真っ直ぐ前を見つめて座り込む。死体の様子とこの異臭からコレが今日の出来事では無いことは明確で、男は何日この地獄の様な部屋に子供は居たのだろうと血の気か引いた。