【鬼滅】硝子玉 。柱には師範が居たらしい。【逆ハー救済夢】
第27章 不安と過去とそれから未来
実『…なんだよ、この傷。』
知っているけれど、何も纏わない姿でソレを見ると背がゾクリと震えた。跡がコレだけ残るのだ。
どれだけの血が流れて、どれだけ痛くて、どれだけ…耐えたのだろう。
「……ちょっとね…色々、あって。」
下手な誤魔化しをしながら目線の先を隠すからその手を取り上げて、確認するように身体を見た。
実『………この腹の跡…あの時のか。』
胡蝶から聞いた”肉を修復できる”というとんでも体質でも治らない。きっと普通なら死んでいたのだろう。恐らく、この腹にある跡はそんな傷だ。
あの3日と少し眠り続けた原因になった傷だ。
「……うん…。…ごめんね、傷だらけで。」
眉を下げながら謝る姿にハッ。とした。
実『命(タマ)がありゃ…上等だ…。』
命があれば、こうやって近くに居られて会話ができればそれだけで俺は幸せなんだと思う。
実『……よく…頑張ったなァ…。』
”これ以上傷を作るな”なんて言えたらどんなに気が楽か。そんな事を思いながら偉そうにそう呟いた。
みんなの為に。なんて優しい理由で圧倒的な力で突き進むが自分の前だけでも弱い姿を見せてくれたら。
止めることは出来ないのは痛いくらいに分かっている。だから頑張ったな。なんて言葉に照れくさそうに笑った顔が嘘じゃなければ良いのに。俺が守れたら良いのに。そんな欲望を混ぜながら傷跡に唇を落した。
傷跡も当たり前に暖かくて”大丈夫だ生きてる”と心がホッ。とため息をついてまたそれを繰り返す。