第27章 不安と過去とそれから未来

「私ね、愛されるのは柄じゃないから
もういっそ素直に皆を愛することにしたの。
それでも良いなら……考えて欲しいんだ。」



”皆を愛する” というのは恐らく想いを寄せている相手を皆受け入れるという事なのだろう。

逆を言えば、それを許容したのならあまねがいる自分との関係も気持ちがあるのなら否定することが出来なくなった。”考えて欲しい”というのはそれでも良いかということをは聞きたいのだろう。



産「断る理由がひとつも無いよ。」


そう言って額に唇を寄せると
は安心したようにへにゃりと笑う。

あまねを妻として受け入れると決めている自分にとってソレを否定するすべは無い。

何より、どんな形であれ一緒に居られるのならそれを断る理由などひとつも無いだろう。



「……光源氏は私だったかもね。」

産「………なら、紫式部は誰だろうなぁ。」


そんな話をしたこともよく覚えている。
言葉遊びのようなコレも内容が変わるとまた心が踊る。


「ふふっ、皆が私の紫式部だよ。」


皆の想い描く理想になりたい。

はそんな事を思っているのだろう。
__ニコニコ。と嬉しそうな姿に御館様は安心した。

色事になると後ろ向きになりがちなだが、目標があればソレを糧にして楽しむことも出来るかもしれない。