第2章 君色に染まらせて
>>>智side
パレットに赤と白の絵具を出して様々な濃さのピンクを作る。櫻井が帰ってくるまでの間大野はずっとリビングに置かせてもらってる絵の制作を進めた。大きめの正方形のキャンパスに端から丁寧に花弁を描いていく。側から見たら単調な作業かもしれないが大野はこういう地道な作業が案外好きだった。
翔くんは昔からずっと俺が何か作ってると、邪魔したりちょっかい出したりしないで遠くから見つめてくれる。それで、作品が完成すると目をキラキラ輝かせて見てくれるんだ。「智くん凄いね!!!」「貴方の作品が見れて嬉しいよ」って興奮気味に感想を伝えてくれる。個展の開催も翔くんが事務所に相談したりしてたみたいで、翔くんはもしかしたら迷惑だったかも知れないけどって言ってたけど俺はとても嬉しかった。
翔くんといると何でか明るい気持ちになる。俺の事ちゃんと見守って支えてくれる翔くん。キラキラした目で沢山褒めてくれる翔くん。翔くんと居ると毎日が楽しくて。
早く、帰ってこないかなぁ。翔くんに早く会いたい。