第2章 君色に染まらせて
収録が終わった後、櫻井は足早にマネージャーの待つ車に乗り込んだ。
マ「お疲れ様です」
翔「お疲れ様〜」
マ「自宅で大丈夫ですか?」
翔「いや、今日はこのまま新宿向かって」
マ「分かりました」
タクシー乗るから帰っていいよと伝えて家電量販店に入る。面倒だから買うなら一気に買いたいし、実物を見て購入しようと思ったからだ。帽子もメガネもマスクもして完全防備状態で店に入る。まあ実際街で歩いてても他人の顔なんてじろじろ見ないし、大して気づかれないんだけどね。
目当ての商品を台車に乗せて行ったら量が多すぎて、結局店員さんに手伝ってもらった。途中キッチンコーナーが目に入り、調理器具も必要そうなのは粗方カートに入れていく。
店員「お会計はどうされますか?」
翔「ああ、じゃあ一括で…」
分割払いなんていつからかしなくなった。単純に必要が無いしね。ブラックカードを渡された店員は少し驚いたようだったけどそのまま丁寧に接客してくれた。
店員「では、来週末にはご自宅に配送予定ですので宜しくお願いします」
翔「了解です。ありがとうございます」
智くんは毎回大荷物で家に来るから、これで俺のキッチンで料理が出来て、少しは楽になる筈だ。伝えようか迷ったけど、何となくびっくりさせたくてサプライズにする事にした。