第39章 道化師の奇跡
大見え切って、宣言した王の教室への移動。
期日内に揃えた書類を持ち、意気揚々と職員室に乗り込んだ。
今日も今日とて、入魔の隣に座らされて、
カルエゴ先生からの酷く蔑まれた視線にさらされています。
今なら、血が吐けそう。
「約束の教員全員の許可書だ。
3日以内に揃えた。確認してくれ。」
「ああ、確かに、教員36人分。問題ない。」
わいているクラスメイト達。
私は、何か引っ掛かった。
何か、見落としてる気がする。
あの時、カルエゴ先生が怖すぎて条件を正しく聞いていなかった。
確か、先生は、
「故に、サインはしない。
なぜなら、足りないからだ。
私は、「教職員全員の許可書」が要ると言ったはずだ。
教職員とは、食堂従業員、売店員、清掃員、図書司書など全て含まれる。
この悪魔学校に従事する全員と言うことだ。」
引っ掛かった。
そうだ、入魔は「教員」と言ったけど、先生は「教職員」と訂正していた。
自分達の要求が通ったと認識してしまっていて、思い込んでいた。
じゃあ、入魔の負け?
「粛に。
粛にせよ。
貴様らはいつもそうだ。
物事を深くまで考えない。
面白そうだと簡単に手を出す。
火を掴もうとする子供のようにだ。」
段々と空気が冷えていく。
「貴様らが手を出しているのは、業火だ。
この世界の礎を築いた御方が残した高貴な業火……」
先生の背後のオーラが圧迫間をます。
「この学園が守ってきた尊き遺り火に触ろうと言うのなら、
私はこの学園の門番としてその首を噛みちぎる義務がある。」
形なき圧力が、喉元に噛みついてきたかのような錯覚に囚われる。
背筋を冷たいものが駆けていく。
「思考力のない者はただの道化だ。
そして、火の輪で身を焦がす。」
ああ、直ぐここから去りたいのですが、入魔が手を握ってるので、出来ません。
「まあ、これだけの許可書を集めたことは評価しよう。
現教室の補修くらいは打診してやる。
だが、「王の教室」への移動は認めん。
それでこの件は終わりだ。
イルマ……」
届かなかった……
悔しい。