第87章 スキ魔⑳
「入間ーアメリさんといい雰囲気だったじゃない。」
「み、見てたの!?」
デビラムから帰ってきて、部屋に戻る途中で、
2人がいい雰囲気だったと言ってみた。
「どうだった?
悩みは少しは解消された?」
いつも何かにつまずいては立ち直る入間。
たくましい年の離れた弟分。
その成長スピードが羨ましくも思う。
だから、ついつい、要らぬお節介をしてしまう時もあるが、
晴れ晴れとした表情を見れば、少しは、
役に立ったと自己満足的な優越感に浸ってしまうのは、
嫌なおばさんの自己満足だ。
「うん。
僕は、僕のスピードで進んでいけばいいんだって、
わかった。
焦っても、距離はかえられないし、進むスピードもかえられない。
でも、僕が力をつけて、追い付くことは出きるんだって。
追い付けば、距離も関係も変えられるって、わかったから、今日は、おじいちゃんに感謝しなきゃ。」
本当に、若いって素晴らしい。
軽々ではないにしろ、大人の予想以上の早さで成長してくんだから。
「……そうだね。
おじいちゃんに感謝だね。
私も、少しは憂いがはれたからさ。」
「良かったね!」
笑いあって各々の部屋へわかれた。
ベッドに入って、今日を振り返る。
かの人の珍しい表情をみれたのだから、
今日もいい1日だった。
私の悩みも入間の言葉で少し、軽くなったような気がするし。
瞳を閉じて、
夢の中でも貴方に会えますように。
と呟きながら、
おやすみなさい。
良い夢を。