第38章 王の教室
「あ、おじいちゃん、実は僕…この書類にサインがほしくて…
だめ…かな…」
「いいよぉ!!」
朝、おじいちゃんは入魔によって、籠絡した。
入魔の方は、自分の武器を把握してるんだね。
ズル賢いと言うのか、頭もそこそこまわるし、度胸もある。
本来なら、入間にもこの一面はあるはずだけど、才能を使いこなすには多少、性格に作用されるのだろう。
勿体ない。
「姉上どの。」
暗黙の了解的に、手を差し出される。
手をよこせ。
そう、無言の要求。
「ねぇ、何で手を繋ぎたがるの?」
「…駄目か?」
「……恥ずかしいんだけど。」
「俺は恥ずかくない。」
問答無用に手を繋がれる。
昨日のことがあるからか、ゆっくり歩いてくれるし、無理矢理は連れ歩かない。
学校につけば、
てきぱきとクラスメイト達を適した教師の元へ向かうように指示を出す。
1枚、1枚、と許可書は集まる。
私も、何かした方いいのかな?
「私も、何かする?」
訪ねれば、
「いや、俺の側に居るだけでいい。」
「なっ!?」
さらっと、恥ずかしいことを言いやがる!
顔から湯気が出たんじゃないか?
「……たらし」
「どうも。」
「誉めてない」
続々集まってくる許可書。
皆に指示を出すかたわら、頼み事をこなす入魔。
頼まれたことを断らないのは、根本の性格によるようだ。
少し、手伝う。
店番楽しかった。
店番が終わって、戻るときに、クッキーのセットを買った。
教室に戻り、合わせて買った飲み物で一息つく。
入魔は疲れて眠っていた。
何故、先生に喧嘩を売ったのか聞いたら、
「問題児だからと言って、正当な評価をされないのは悔しい。もっと、あいつらを認めてもらいたい。
王の教室に移れば、少しは認めてもらえるだろ?」
そう言っていた。
個性が強すぎて、異彩を放つ彼らを入魔なりにもっと、周りに正当な実力を持った悪魔として認めさせたいと強く望んでいることが解った。
普段、自分が目立たないようにとか考えてる入間なのに、心のそこからクラスメイト達を認めてるんだね。
可能な限りは手を貸すことにしよう。
どのくらいやくにたてるかわからないけど。