第35章 嵐の前の……
アメリさんとの誤解を解く方法が思い付かないまま、3日ほどたったある日。
ケロリさんに呼び出されたまま、入間は帰ってこなかった。
どうしたのかと思ったら、
「大変だ!入間くんが!!」
リード君が大変だと教室に駆け込んでくるから、何事かと思ったら、
何と、入間が生徒会の見回りに加わっているではないか。
「どう言うこと?」
生徒会一行さまを追いかけて、その行く手を阻んでみた。
「誰だ貴様は?」
まあ、そうなりますよね?
ギャラリーがざわざわしてたけど、そんなの、知らない。
「入間の姉です。
どういうつもりで入間は生徒会に居るのでしょうか?説明願えます?」
あちらからは見下ろされる格好だけど、バチバチと火花が散っていたのは言うまでもない。
「……場所を変えましょうか。ここは、目立ちすぎる。」
「……ええ。」
「後は任せる。」
「イエス、ボス。行くぞ、」
入間は何か言いたそうにしていたが、生徒会のメンバーに連れていかれた。
私は、アメリ生徒会長の後についてその場を離れた。
空き部屋に入った。
「……と言うわけです。」
「……まあ、納得できる内容ですね。」
経緯を説明されて、納得せざるを得なかった。
魔具研が無くなるのは入間にとって避けたいこと。
その事を、目の前の女は知っているはず。
「何か問題点でも?」
「……いいえ。ただ、入間の弱味に漬け込んで、優位に事を運ぼうとするなら、……全力で潰しにかかりますから。そのつもりで。」
言葉で格上を脅せるとは思わない。
それでも、釘は刺しとかないと。
目の前の小柄な悪魔が、いや、入間の姉だと言うなら、人間だろう。
その女が、物騒な台詞を吐きながら笑った。
その様子に、酷く寒気がした。
高々ランクはダレス。
格下の生徒に恐れを抱くとは、不甲斐ない。
だが、
「……心掛けましょう。」
「では、失礼します。ごきげんよう。」
微笑んでいるのに、目が笑っていない。
「…さすがは、入間の姉と言うところか?」
退出した女の去っていったドアを暫く眺めていた。