第34章 魔力の使い方。
「意思の疎通はある程度出来るの?」
「バッチリ。」
「私の前にも出てきてくれない感じ?」
「駄目だと思います。」
「アリさん、アリさん。聞こえてるでしょ?
私は、入間の姉美雪。お話しましょう?」
「…………」
端から見たら、狂気の沙汰。
「出てこないと、指輪を壊すわ。」
「えっ、美雪さん!?」
「私、本気よ入間。最近、破壊系の魔術習ったの。
大丈夫、入間に傷1つつけずに指輪だけ壊せるから。」
「わあ、わあ、アリさん!!美雪さんマジだから、真面目にマジだから!!!?出てきてぇぇぇぇ」
姉の目が、人間界で見た事のあるヤバイ人達と同じ目付きになった。
本能で、理解する。
「本気」なのだと。
入間の手を掴み、指輪に指を置いた。
指の先に力を込める。
「……ストップ、ストップ!!」
「アリさん!!」
「貴方がアリさん?」
「……イル坊の姉さんは怖い人だな。」
「改めて、初めまして。入間から色々聞いたわ。
ごめんなさいね。脅かして。」
「……美雪さん、もし、アリさんが出てこなかったら、本当に、」
「まさか。ほら、」
指輪に押し付けていた指を離すと、
指の先には小さな炎が出た。
「ラファイアでは指輪を破壊できないわよ。」
クスクスと笑う美雪とつられて笑う入間。
しかし、アリだけは、
『いや、指輪の中で感じた殺気は本物だった。
マジで壊そうと言う意思が感じられた。』
言葉だけの脅しなら経験はある。
どの程度本気なのかも感覚的にわかる。
イル坊よりも経験はあるはずだ。
その自分を引きずり出したのだから、イル坊の姉はただもんじゃねぇ。
そう、直感した。
逆らわないのが身のため。
「……で、僕ちんに何の用?」
「う~ん。考えてなかった。」
「ガーン!?」✖️2
「うそうそ。アリさん。入間をよろしくね?
私も、危なっかしいと思うけど、入間も相当だから、ねぇ。」
「……まあ、僕ちんのご主人だから。」
「良かった。入間、アメリさんとの事はまた、追々片付けて行こ?」
「うん。」
「アリさんには、私ぐらいの時は出てきてくれると嬉しいな?」
「まあ、安全なら。」
「よろしく。」
その後、ご飯を食べて、明日の準備をして寝た。