第32章 家族の時間
さて、今日は、何日かぶりの自宅です。
入間はアクドルクロムちゃんのライブに行っていて、居ない。
おじいちゃんも自室で仕事中。
そう、オペラさんと2人っきり。
会話がなく、お互い無言。
自室に帰ろうかと思ったが、何やら、何処にも行かせないオーラを醸してるオペラさんの気迫に負けて、ソファーと仲良しになっている。
世話しなく動いていたオペラさんが作業を終えたのか、隣に座ってきた。
身体が強ばる。
最初の頃の方が良くしゃべれた気がする。
何故、喋れなくなったのだろう。
判らない。
「…………」
「…………」
何か喋った方が良いのだろうか?
何を喋れば?
「…美雪様。」
「は、はい!」
声が裏返った。
「緊張なさらないで下さい。」
「……そんなこと、言われても……」
緊張する相手を前に、緊張するなと言うのは無茶な話だ。
「私は、貴女の使い魔でもあるのですよ?そう、苦手意識を持たれては、近寄れなくなってしまいます。」
「そうなのですか?」
「はい。」
「……努力します。」
「………失礼します。」
返事も聞かず、両頬を両手で包まれた。
「…私、好きなものはとことん構い倒す癖がありまして。」
「…はあ…?」
「美雪様はどストライクゾーンにおいでなのです。」
「えっ?」
「可愛くて、可愛くて、しょうがないのですが、気の向くまま構い倒せば、壊してしまいかねません。
ですので、壊さないように、セーブする気持ちで、近寄らない、接触する回数を減らしておりましたら、嫌われていると勘違いさせてしまいました。」
「(///ー///)」
「無表情なのが誤解を招く原因ではあると思ってます。あと、喋らなすぎることも。これからはもっと、喋りますし、こうしてコミュニケーションを取っていきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか?」
むにむにと頬っぺたを両手でこねられてる。
「もう、触ってますが、」
「これは、序の口です。」
「へっ?」
「私のスキンシップはもっとハードですよ。」
「お、お手柔らかに……」
「それは、了承していただけたと言うことでよろしいですか?」
「は、はい。」
「ありがとうございます。では、早速。」
「あ、あの、」
「大丈夫です。……痛くしませんから。」
「言葉の羅列が何やら誤解を招きかねませんが、」
「さあ、観念してください。」
