第30章 スキ魔⑩
おじいちゃんにバラム先生からの資料を渡す。
「あらゆる想定で検証して、出された、有効だと思われる対策などをまとめてあります。」
「バラムくんからだね。」
内容を読んで、納得している様子のおじいちゃん。
「バラムくんの方が中々いい判断だ。
体調管理の方はバラムくんに任せた方が良いかな。
美雪ちゃんも相談しやすいでしょ?」
「はい。ありがとうございます。」
おじいちゃんは苦笑いだった。
そうすぐは切り替えられるものじゃない。
しょうがない事はしょうがない。
「ごめんね、おじいちゃん。
すぐは、切り替えられないから。もう少し、待って。」
「……良いんだよ。焦らなくて。
待ってるからね。僕は、何時でも美雪ちゃんの味方だから。」
「うん。うん……」
ぎゅっとはぐした。
「美雪さん。」
「入間。」
「名前、」
「?」
「敬称がとれてます、」
「えっ?あっ、ごめんね。」
「僕、その方がいいです。美雪さんが僕の事、家族だって思ってくれるんなら。」
「入間…」
入間とも抱きあった。
一人じゃない。
支えるだけじゃなく、支えられてるんだと。
そう、強く思った。